蕎麦処 あらくさ
営業時間:11:00〜20:00(冬期19:00まで)
定休日:第2水曜日(他の水曜日は15:00まで)
テーブル上の調味料:一味唐辛子、七味唐辛子
ティッシュの有無:おしぼり
接客:気にならない
画像:もりそば 650円

住宅街にスッと溶け込みながらも、重みある壁と趣きある門で独特の雰囲気を醸し出している。決して広い敷地ではないが、店内の窓からはこじんまりとした中庭が見渡せ、明るすぎない座敷きに腰をおろすと琴の音が流れてる事に気づく。若い時は、こういう落ち着いた店に入ると「大人っぽいな…」なんて考えながらかえってソワソワしたものだったが、今では牛丼屋やファーストフード店の方が心休まらず、こういう場所の方が馴染める気がする。自分も歳を取ったのだな…と自覚する数少ない瞬間である。

中途半端な時間に訪れたので、客は誰もおらず貸切状態。厨房の方から従業員のしゃべり声はするが、こちらに気づいてない様子だったので声をかけ『もりそば』を注文する。「ごめんなさいね〜」と微笑みながら持ってきてくれたお茶をすすりながら品書きをめくると、ちょっとビックリするほど品数が多い…まず、いつもチェックする『もりそば』の周辺事情は、『おおもり(900円』『天ざる(1600円』『限定 手打ち板そば:薄盛(1150円』『限定 手打ち板そば:厚盛(1450円』となっている…ぜ、全部このテーブルに並べてかたっぱしからハカリに乗せてみて〜などと野暮な事を思ってしまう。他に、洋風めん、ピリ辛煮込みうどん等の変わりダネや親子丼やカレーライス等もあるが、定食屋的に品数を揃えてるわけではなく、店主の探究心の現われらしくそれぞれ一癖も二癖もある事が品書きに添えられた説明でわかる。

「おまたせいたしました」テーブルに置かれた盆の上を凝視するとアドレナリンがドパーッとでてくるのがハッキリわかる。馬鹿な話だと思われるかもしれないが、最近は何をどうどのタイミングで食べるか考えるのが異常に楽しく、以前だったら「え、こんだけ?」と感じたであろう盆の上も、今では情報が溢れ「と、とりあえず、写真写真」と妙に慌ててしまう。白いが濃い色の粉もポツポツと見える蕎麦をまずは2、3本ヅツツ〜ッとすする。ああ、やっぱり真っ白い蕎麦より香りの立ち上がりが早い気がする…コシの強さを噛み締め味わいながら「蕎麦粉何割だろう?」と考えるが、そんなのわかる程いい舌は持っていない(三七だそうです)。徳利から蕎麦猪口へとツユを注ぐ…蕎麦の盛りがお上品な量だから、ツユも少なめかと思いきや随分たっぷり入ってて嬉しい。ツユにひたした蕎麦をズズズ〜ッとやりながら長葱の美しさに気づいて箸が止まる(咀嚼は止まらず)。ええ〜っ、何コレ?この瑞々しさ、このエッジのシャキッとした感覚!いま切ったばかりなのか、切ったのを水にさらしてあったのか悩む…どっちだ?どっちだ?そして、このニオイのきつくない白いとこばかりという気使いも素晴しい!思わず、こちらもまた何とも美しい沢庵と並べてパチリ。

山形では、ほとんど100%の蕎麦屋やラーメン屋で漬け物が出るのだが、こんな素朴で美しい沢庵が出たのってはじめてだなあ…ていうか、蕎麦屋のつけ合わせで出る漬け物の方がラーメン屋の100倍くらいおいしいよ…ううっ、蕎麦の道に入って良かった!蒸籠が空になり、余ったツユと蕎麦湯を必要以上に真剣に分量バランスを気にしつつ配合し(蕎麦湯もたっぷりでした)、蕎麦の香りの邪魔になるので一緒には食べなかった沢庵をポリポリ…全体量は決して多くはないけど小麦粉にはない蕎麦粉独特の重みと、これだけ色々考えながら食べてるからかそれなりの満足感があり、物足りなさは感じない。沢庵をかじる度に口中に残る蕎麦の香りが消えてくようで、止めて席を立ちたいのだがおいしいのでやめられない「まいったなあ…」と思いつつ薄笑いでポリポリポリ…
再来店の可能性:○
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