あらきそば
営業時間:11:00〜17:30
定休日:水曜日
テーブル上の調味料:一味唐辛子
ティッシュの有無:なし
接客:気にならない
画像:うす毛利 800円、身欠きにしんの味噌煮 400円

蕎麦の本を読んでると「山形の田舎蕎麦といえばここ!」と押しているのをよく見かける。山形県内の…というより、全国の蕎麦好きに名の知れた蕎麦屋である。築180年になる茅葺き屋根の農家をそのまま店舗にしており、実に雰囲気ある佇まい。玄関を入ると囲炉裏端に主人がおり、靴札の使い方など教えてくれるのだが、昼時の混雑を過ぎた頃だと近所の人達と食事してたりする。

番号札と靴札を持って座敷きに入り席につくと、品書き片手におばちゃんがやってくる。以前は、特に蕎麦の注文は聞かずに、何も言わなければ『うす毛利』と呼ばれる一人前の板蕎麦が運ばれていたが、最近はオーダーを聞いてくれるようだ。ちなみに『うす毛利』の倍量は『むかし毛利』となる。


蕎麦と一緒に注文した『身欠きにしんの味噌煮』がスグ運ばれてきた。味噌を注ぎ足し続けて作られている味噌煮は真っ黒でツヤツヤと輝いている。味はそれほど濃くはなく、ローストされたような苦味と味噌のまろやかさが絶妙で「遠方からワザワザやってくるお客さんの酒のアテに…」と作られたのがうなずける、甘い辛いとはちがう滋味のようなものが感じられる。ちなみに、『身欠きにしんの味噌煮』以外に季節ごとに変わる煮物などの田舎料理が一品あり、これらはこの店の女衆の作品である。

ほどなくしてツユとネギが運ばれてくる…ツユと同じ蕎麦猪口に茶が注がれている。ワサビはない。続いて、板が運ばれてくる…『うす毛利』の名前の通り、盛られた板が蕎麦を透けて見える程の量で少なく感じるが、ツルツルとすすれるものではなく噛み締めて食べる蕎麦なので、これだけで充分腹いっぱいになる。にしても、こうした太い蕎麦を見てると板蕎麦である意味というのが実に納得できる。この太さでは蒸篭にのせるのは無理だものなあ〜

まずは、そのままで1本たぐる…ズズッ、蕎麦粉十割ではあるがザラつく食感はない、むしろ滑らかで堅さとはちがった蕎麦らしいコシがある。蕎麦の匂いと共に香ばしさもフワリと広がる…最近、蕎麦の中に黒くポチポチと見える所謂「ホシ」と呼ばれるものの有無と香ばしさの関係を気にしてただけに、ホシのないこの蕎麦が香ばしい理由が気になりワクワク…次はツユにひたしてズズズッ!うん、味はしっかりしてるけど濃すぎず蕎麦の香りがたつ時分にはスッと身を引くような、実に山形らしい出しゃばらないツユだ。

2/3程食べ終え、存分に蕎麦の香りを楽しんだ所で、味噌煮に箸をつける。ちょっと味が変わると、蕎麦の味がまた新鮮に感じられておいしい。最初から味噌煮を食べてしまうと、逆に蕎麦の香りの邪魔になってしまうので、ボク的にはこうして後半戦の抑えとして活躍していただくのがベストだと考える。

いつまでも瑞々しく(水っぽくはない)シャキッと輝くネギがあまりおいしそうなので、最後の一口で蕎麦と絡めてすすってみた。ツンと鼻にくる辛味が刺激的でおいしい…が、やはり蕎麦の香りを邪魔してしまう。濃いめの蕎麦湯を猪口にそそぎ、漬け物をポリポリと楽しみながら腹を温める。漬け物もなんだか複雑な味でおいしい…これでゴハン食べたらさぞかしうまかろうな。昼時をはずして来たので、食べてるうちに店も空いてきた…季節ごとに変えられるという壁にかけられた色紙などを眺め、楽しんでから店を出た。


店の佇まい、店内の雰囲気、従業員、そして蕎麦にツユと、まさに山形の田舎蕎麦の基本形と呼ぶに相応しい店である。

再来店の可能性:○
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