原口そばや
営業時間:11:00〜19:00(12〜3月は〜17:00)売切次第終了
定休日:火曜日
テーブル上の調味料:一味唐辛子
ティッシュの有無:なし
接客:気にならない
画像:もりそば 650円

上山市街から10分ばかり車で走った田園地帯、果樹園の多い村落に佇む古民家の中の一軒が『原口そばや』である。辺鄙な場所にも関わらず、平日は地元客や営業回りの勤め人が、休日は県外から多くのファンがこの店に押し寄せている。

店に入ると廊下の脇にある小さな厨房からおばちゃんが顔を出し「注文こちらでうかがいます」と告げられる。見上げるとシンプルな品書きが備えつけられている。大もりそば800円、そばがき550円、とりそば(大)900円(小)800円、生たまご50円、ビール、お酒、コップ酒と並ぶ。いつも通り『もりそば』を注文し、渡された番号札を手に隣の大広間へ入るとテーブルの7割はもうすでに先客で締められている。蕎麦茶を湯のみについで空いてるテーブルに座り、部屋の中見回す…ズラリと貼られたサイン色紙、部屋の真中にも立派な品書き、なぜか何枚もかけられているカレンダー。

キョロキョロしてるとツユと青菜漬けが運ばれる…しっかり漬かった青菜の色がくすんでいて実にうまそうだ。味見してみたい気持ちは山々だが、ひと口目の蕎麦の香りに影響しそうなのでグッと堪える。お茶のおかわりに立ち上がろうかとした所で、蕎麦が運ばれてきた。見た目は、同じ十割で太打ちの田舎蕎麦である『七兵衛そば』に似た印象…2、3本たぐる…おや?ここのは短くないな、ちゃんとすすれる長さのある蕎麦だ!ズススーーッ、うん、おいしい。『七兵衛そば』より蕎麦自体がしっかりして、良い意味での粉っぽさがあり、香りが生きている。ツユにひたしてズズーッ、ん?もう一口ズズーッ、あれま、この感覚は初めてだなあ…普通は、口に入った瞬間にツユの味がワッと広がり、咀嚼してるうちに蕎麦の香りが来るんだけど、ここのツユは蕎麦の香りを感じた後に咀嚼された蕎麦と化学反応を起こしたかのように、甘味がフワッと出てくるぞ。これは、単にツユが甘いってことなのかなあ?よくわからないけど、味と香りが追いかけっこしてるみたいでおもしろい!なんだろ?なんだろ?と口の中に神経を集中させながら夢中で蕎麦をたぐる。
2/3程食べ終わり薄くなったツユをすすって猪口を空にし、徳利に残ったツユを注ぐ。やっぱ、ここに本ワサビがあったらな〜と思ってしまう。一味唐辛子はあるけど、ここで欲しいのはそういう刺激じゃないんだよなあ…例えるなら、ワサビはドアを思いっきり蹴破って入ってきてスッと消える刺激で、唐辛子はドンドンと足を踏み鳴らしながら入ってきてしばらく騒いでる刺激のように思う。スッと消えてくれないと蕎麦の香りの邪魔になってしまうのだ。もう一度、蕎麦だけですすってみる…ああ、おいしい!たまらず2口、3口と皿から直食いしつつ考える…自分は、細打ちの更科蕎麦が好きだったはずだったのに、いまは明らかにコッチの方がおいしく感じる。人の舌って変わるものだな…

食後は、ほど良い濃さの蕎麦湯をすすりながら青菜をシャリシャリ…おおっ、しょっぱくておいしい!やばいなあ…毎日通いたいぐらい良い店だ、正直それほど期待してなかったんだけど、いま「死ぬ前に一杯だけ蕎麦を食わせてやろう」って言われたら(どんなシュチュエーションかわからんけど)、間違いなくここを選ぶな。他所で温かいそばが気になることはあまり無いけど、ここのとりそばは気になるなあ…こんどは、そばがき好きな妻を連れて一緒に来ようと心に決め席を立った。

再来店の可能性:◎
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