萬盛庵
営業時間:11:00〜17:00(売切次第終了)
定休日:月曜日、第2日曜日
テーブル上の調味料:一味唐辛子、七味唐辛子
ティッシュの有無:おしぼり
接客:気にならない
画像:もりそば 600円

創業1915年という老舗で、多くのガイドブックなどに紹介されている有名店…なのだが、路地裏にあり意外と見つけにくかったりする。位置的には、済生館病院の道路はさんで西側になります。

歴史を感じる佇まい…縄のれんをくぐって店に入る、あ、店の入口は表と裏2ケ所あります。店内は明るすぎず、小さな中庭から射す冬の陽がフンワリと暖かい。ホールを切り盛りしてるのは、和服姿のおばちゃんでテキパキと動き回っており気持ちいい。品書きに『もりそば』を確認して注文…熱いお茶をいただいていると、ツユの入った蕎麦徳利、蕎麦猪口、刻みネギの盛られた小皿が運ばれてきた。ほう、めずらしい…先に来ちゃうんだな…ていうか、ワサビがないのかあ
ここの店の品書きはおもしろい!各メニューの解説がリズミカルな口上で書かれていて、とてもユーモラスだ。読み込んでいると蒸篭が運ばれてきた。蕎麦猪口にツユを注ぎ、トントントンと並べるとスッと絵になる。こういうのを見ると「老舗だなあ〜」と変なとこに感心してしまうのだが、本当にプラスチックの不細工な器かなんかを猪口にしてる店だと、どんなに並べかえても全然(絵面の)納まりが悪かったりするのだ。

窓から射す光の中で佇むこのもりそば達を見ていると、グググーッとその中に引き込まれるように集中できる。「この後、買い物に行かなきゃ」とか「今夜の予定は何時からだっけ」みたいな雑念が消え、フッと目の前の蕎麦と自分だけの世界に入ってしまう…なんて書くと、ちょっとロマンチックに思えるが、次の瞬間ボクはその蕎麦をズルズルとすすってしまうんだな。

まずは、何もつけずに蕎麦だけをズズッ!うん、おいしい。二八蕎麦の匂いと、固いとまではいかない適度なコシ…香ばしさも感じる。ツユにひたしてズズズッ!お、コレはちょっと個性的なツユだぞ…鰹節が強く、味のインパクトがなかなか引かない…コレは…コレは?あ、コレは東京のツユに似てる気がする…辛いとか甘いでなく、強い。山形の蕎麦屋のツユは、インパクトに鰹節がパーンと来るんだけどスグに引いて、後から蕎麦の香りがフワリフワリと漂ってくる…それがいいのに、このツユだとせっかくの香ばしさが擦れてしまう。
何もつけない蕎麦をすすり、咀嚼しながら考える…あくまで個人的な極論だけど、たぶんネギも天ぷらも江戸風ツユも、蕎麦の香りを邪魔してしまう。蕎麦粉の精製の技術が低かった昔や、混ぜ物の割合が多い蕎麦、質があまり良くない蕎麦なんかは、それら“香りを邪魔するもの”と一緒に食べた方がおいしかったのだろうが、現在の高い製粉技術や進歩した打ち方で作る蕎麦には、山形風ツユとワサビだけで(蕎麦の香りを)楽しむのが一番適しているのではないだろうか?あ、疑問形にすることないな…適しているとボクは思う。

ただ、あくまで個人的に今現在考えている嘘偽りない言葉ではありますが、誰にでも共感してもらえる意見だとは思ってない。だって、例えば「お米本来の味を一番楽しむ方法」なんて言い出したら、当然米の香りを消してしまうであろうカレーライスや麻婆豆腐丼なんてまっさきに消えなきゃならないだろうし、でもボクはお米もカレーも好きで…何ていうか、麻婆豆腐丼をゴッゴッと食べてる時に突然知らない人が現れて「お前は米のことを何もわかっとらん!」なんて言われたら、ムッとするだろうし…だから、ボクのこの妄言もネギや天ぷらや江戸風ツユを好きな方を否定するような気持ちは微塵もありません。むしろ、この辺りをグルグルと3周ばかりしたら、きっとそちらへ伺うことになると思いますのでヨロシクお願いしますといった所でございます。
「たかが蕎麦のこと、ウダウダと御託並べやがって!」そんな風に煽られたらフイッと飛ばされちまうような独り言ですが、こうやってウダウダ考えたり閃いたりするのが楽しくてしょうがない。なるべくお店の方や読んでくださる方の気分を害さぬよう、しかし思ったことを正直にカタカタ綴らせていただけたらこれ幸い。老舗の蕎麦を味わい、なんだか色々なことを考えさせられました…ごちそうさま
再来店の可能性:○
港屋
営業時間:11:00〜15:00、17:00〜19:30(LO)
定休日:火曜日(変更の場合あり)
テーブル上の調味料:七味唐辛子、胡椒(ギャバンブラック)
ティッシュの有無:おしぼり
接客:気にならない
画像:もりそば(太打ち)580円

和合町のこのあたりは普段あまり使わない道なので、たまに通ると何だか新鮮でいい。雪で薄ぼんやりと明るい夜、やわらかく灯された店先の白熱灯に誘われ、初めてこの店に入ってみた。整然とした店内に座敷きとテーブルがいくつか…正面にあるガラス張りの立派な蕎麦打ち台が目をひく。他に客の姿はなし。

品書きを眺め、太打ちと細打ちの2種類ある蕎麦から、太打ちのもりそばを選んで注文。それぞれ『限定』とあり、その日打った分がなくなったら終いという事らしい…他にメニューは、うどん類、中華そば、丼ものに酒の肴と結構な種類がある。品書きの表紙には蕎麦へのこだわりが書かれている…太打ち細打ちそれぞれ異なる産地の蕎麦粉をブレンドし、別々の石臼で自家製粉してるとのこと…ついつい期待してしまう。
客は入ってこないが近所からの出前が多いらしく、ひっきりなしに電話が鳴り、厨房も忙しそうにしている。壁の貼り紙を眺める…昼時禁煙、カレーそば、カレーうどんにカレーらーめん(!)こういうの気になるなあ…中華そばには山形県産小麦のでわかおりを使ってるのかあ…そば屋の隠し酒“五薫”、このお酒の貼り紙たまに見かけるけど「隠し酒」といいながら、ここまで隠してない(ていうか売ってるからなあ)と「そのくらいおいしいということですよ」みたいな洒落とはちょっと違って間が抜けて感じちゃうな…

そんなことを考えていると、蕎麦が運ばれてきた。店主の自作だという皿をのぞきこむ…おおっ、確かに太い!太くて平たい!きしめんのようないでだち…1本たぐってそのままズッとすする。なるほどモッチリしてて蕎麦の風味…そして香ばしさも感じる。この香ばしさは玄蕎麦の配合の割合の問題なのか、そもそも玄蕎麦そのモノ自体の質の問題なのか、それとももっと別の要因が絡んでいるのか?考えたり調べたりしても、なかなか答えには届かないでいる…黒いホシがあっても、香ばしさを感じない蕎麦もあるし…謎だ。

ツユにひたしてズズッ、本ワサビをのせてズズズッ!ツユにひたすとコシの強さがまして、さらに歯応えが良くなる。この店ではめずらしく漬け物がついてこないで、変わり…というわけではないかもしれないが、辛味大根おろしが薬味としてついている。ネギとちがい大根おろしはインパクトの強さの割に、味が後引かないので蕎麦の香りを邪魔せず嬉しい。最近、ネギはまったく箸をつけないようになった。蕎麦とは合わなくとも蕎麦湯に入れると味が深まるという話もあるが、それもあまりピンとはこない。

写真で見るとチンマリしたものだが、ほんのひとつまみで味をガラッと変える薬味の量や組み合わせを試す実験をすっかり満喫、久し振りに集中力途切れることなく遊ばせていただいた。これも、たっぷりの咀嚼に堪えうる蕎麦の力あってのもの…大きな急須で運ばれてきた蕎麦湯で腹を暖め、店を後にした。ごちそうさまでした
再来店の可能性:○
三津屋 本店
営業時間:11:00〜20:00
定休日:火曜日
テーブル上の調味料:一味唐辛子
ティッシュの有無:おしぼり
接客:気にならない
画像:せいろそば 580円

思い起こせば8年前…産まれて初めて食べた山形蕎麦が三津屋さんでした。コシはしっかりあるものの、太さは他地方のものと変わらなかったので「普通においしいな」という事以上の感想はもてなかったのですが、今回久々に訪れてみて今までの平凡な印象がどう変化するか…そんな事を考えながら暖簾をくぐりました。

座敷席に腰をおろし、壁に貼られたサイン色紙の数々を見回す…さすが人気店だけあって、有名無名ズラリと並ぶ数十枚…なかには、貼りきれなかったのか、はじっこに重ねて立て掛けられているのまである。品書きを眺めていると「お決まりですか?」と笑顔で女性店員がやってくる。同行の妻が「板そばはせいろそば2枚くらいですか?」と問うと、うまく伝わらなかったのか「男性なら1人で板そば1枚くらいペロリといけます」とか「お2人なら大板そばでも」と聞いてもいない事を教えてくれる…ガイドブックを見てやって来る観光客ならこう言われると板そばを注文してくれるのだろうけど、こちとら地元だ、1枚580円也のせいろじゃ商売の分が悪いだろうけど、せいろ2枚でお願いします。注文に応じながらも「足りなかったら追加もできますんでね」と心遣いいただく。

物産会館そばにオープンした系列店、食べ放題をやってる“そばダイニング でわじ野”のパンフレットを眺める…が、でわじ野最大の売りである「食べ放題」の文字がどこにもない。不思議だな…と思いながら熱い茶をすすっていると、蒸籠の乗った盆が運ばれてきた。

2、3本たぐってズズッとすする。コシは強すぎず蕎麦の香りもあり、微かに例の香ばしさも感じる。ツユにひたしてズズズッ、おっ?ツユにひたすと蕎麦のコシがグッと強くなった…ツユによって冷えたからか、ツユの塩分に粉が反応してこうなるのかわからないが、この方が食べ応えあっておいしいかも…ねりワサビを乗せてズズズッ、もう一度ツユにひたさずズズッ…細さとコシでツルツルと実に食べやすい。

食事中に運ばれてきた蕎麦湯の湯桶がとても大きく、しかも並々と入っている。これを蕎麦猪口に2杯もすすっているとちょうど腹八分といったところで、普通に満足できた。蕎麦で満腹というのも悪くはないが、あまり一度に量を食べるとどうしても口飽きしてしまう気がするので、「足らなかったら別の店でもう一枚せいろを食べればいいや」くらいの気持ちで、基本メニューであるもりなりせいろを一枚きりたぐるのが、自分的には理想的な蕎麦の楽しみ方なのだな…と、改めて確信した次第である。

再来店の可能性:△
やぶ家
営業時間:11:00〜19:30
定休日:火曜日
テーブル上の調味料:一味唐辛子、胡椒、酢
ティッシュの有無:紙おしぼり、ティッシュ各テーブル
接客:気にならない
画像:もりそば 550円

七日町で飲み歩いた行き帰りによく通る道すがらなので「随分きれいな蕎麦屋があるな」とは思っていたが、入るのは初めて。あまり期待してしまうとコケちゃう事が多いので、平常心と唱えつつ暖簾をくぐった。整然とした外観のとおり店内も清掃のゆき届いたテーブルがスラッと並び、明るすぎない照明が落ち着きある雰囲気を作り出している。

品書きに目をやり、いつも通り『もりそば』を注文。温かいお茶をすすりながら、改めて品書きをジックリと眺める…中華そばや各種タネ物が並ぶ中、この店のオススメは『かき揚げもり(750円』とのこと。冊子の品書きと別にされたクリアホルダーの中にセット物もあった。中華そばやもりそばに『ちらし』がついて900円。ありがちな、ミニカレーライスやミニかつ丼なんかじゃないところが逆にそそられる…『ちらし』ってどんなだろ?生魚がのってなくて、レンコンやカンピョウ、シイタケを甘く煮たやつが酢飯に混ぜられてて、上に茹で海老を半分に切ったやつがチョコンとのってたりするアレかなあ?こういう場所で出すアレはめっぽうおいしかったりするんだよなあ…危ない危ない、さっさともりそば頼んじゃって良かった。

『ちらし』に思いを馳せていると、もりそばの盆が運ばれてきた。蕎麦粉多めであることを実感させてくれる無駄に艶のない良い色だ。大きめの蕎麦猪口にたっぷりのツユも嬉しい。細からず太からずの蕎麦を2、3本たぐってズッとすする。うん、おいしいおいし…あっ、これはアレだ!香ばしい蕎麦だ!思わずもう2、3本…うん、やはり蕎麦茶のような香ばしさが口の中に広がって実においしい。上山の『一休』『たからや』『松茶庵』に続き4店目、山形市内では初だ!そっかあ〜やはり、山形にもあったかあ〜嬉しいなあ〜とニヤけながらツユにひたしてズズッ、ネリワサビ(本ワサビじゃなくて残念!)をのせてズズズッ!と、夢中ですすった。

まあまあの濃さの蕎麦湯を猪口にそそいで一服…頭に浮かぶのは「次いつ来よう?」、ここなら七日町に飲み行く前にもりを一枚たぐるのに最高の場所だな…いきなり脂っこい焼鳥やビールを空きっ腹に入れるより、さっぱりした蕎麦を胃袋に入れといた方が身体にもいい気がする。や、まてよ、それだったら『かき揚げもり』を肴に燗酒を1本飲んでくってのもいいんじゃない?揚げ立てサクサクのかき揚げをつまんではチビリ、ツユをすすってはチビリと猪口を傾けながら、妻と「今日はどこ行こう?」「かき揚げと蕎麦でお腹は落ち着いちゃったから、おいしい刺身でも食べようよ」なんて話しながら…おおっ、なんか大人っぽいなあ〜いいぞいいぞ!ただ、問題はあれだな「お酒なくなっちゃったからもう1本…」とか「今度はつまむものがなくなっちゃったからニシンの甘露煮を…」でしたたかに酔っちまって「今日はもう…帰ろっか?」になっちゃう危険性が…やっぱ、もりだけにしとくのが妥当かも!
再来店の可能性:◎
寿ゞ木 総本店
営業時間:11:00〜21:00
定休日:木曜日
テーブル上の調味料:一味唐辛子(袋入)
ティッシュの有無:おしぼり
接客:気にならない
画像:もりそば 600円

山形市内に4店舗ある寿ゞ木そば(もしくは寿々木そば)の本店。各支店では、蕎麦と共に中華そばにも力を入れている印象ですが、ここでは中華を取扱っておりません(でも、丼物とかはある)。イチオシメニューは、5種類の具材で蕎麦を楽しめる『そうざそば(2100円』…まあ、ボクのような「なるべく蕎麦に何も絡ませたくない」人間とは縁遠い存在、「こんなのバンバン注文されたら儲かってしょうがないだろうなあ…」なんて邪推のネタにしかなりません。広くて清掃の行き届いた駐車場に車を停め、暖簾をくぐりました。
明るく清潔な店内、平日の夜7時とあって他に客の姿はなし…テーブル席に腰をおろして品書きをチラリと一瞥、もりそばを注文。あれ?めずらしいな…もりそばとざるそばが同じ値段だ。品書きに改めて見入ると『そうざそば』以外にも『板そば(1155円』や季節限定の『牡蠣そば』など気になるメニューがチラホラ…や、いいのいいの!もりでいいの!

「おまたせしました」と品の良いおかみさんが盆を運んできてくれた。ふうん…太めの蕎麦がパサッと盛られ随分少なく見える…ワサビも本ワサビでないので正直言って第一印象はあまり良くなかった。が、蕎麦をひと口すすって「ん?」と思う…凄く絶妙な茹で加減の蕎麦が、冷水できっちり締められているので、コシが強いこと強いこと!芯があるわけでないのに、歯応えがしっかりしてて噛み続けてる間ずーっと蕎麦の香りが口に広がり続ける。普通、ご飯や小麦粉の麺だったら「そんだけ咀嚼したら口の中で溶けてる」ってとこまで噛んでも、まだ口の中に蕎麦がいる、蕎麦の香りが漂い続けてくれるのだ。

これが、老舗の底力というやつなのか「儲かってしょうがないだろう」なんて嫌味っぽいこと考えてた自分を恥ずかしく思う程おいしい蕎麦であった。少なく感じた量も、みっちり咀嚼させていただき(2日後アゴが筋肉痛になる程に!)蕎麦湯を飲み干したら、しっかり満足できました。帰りにはレジ横に「ご自由にどうぞ」とあった揚げ玉をひと袋いただいて店を後に…考えてみれば、もりそばざるそば同料金なんて思い切りのいい態度といい、すごく気前のいい店なのかも?いやはや、御見逸れいたしました。

再来店の可能性:○




